2008年10月20日

【速報】東浩紀の10時間シンポジウムに行ってきた

■怒涛の10時間連続シンポ

今日は、早稲田文学主催の10時間シンポジウムに行ってきた。

早稲田文学主催「10時間連続公開シンポジウム」に東浩紀、宇野常寛、佐々木敦ら参加 - CINRA.NET

連れが先週から仕事で海外に行っていたので、調子に乗って朝から晩までフル参加してしまった。疲れはしたが、途中で退屈することがほとんどない刺激的な内容だった。

パネラーには、文芸評論家を中心に多数の著名人が参加していた。特に有名所で言うと、福田和也、渡部直巳、大澤真幸、観客席には川上未映子が参加していた。そして夕方のエクストラステージにはなんと特別ゲストとして阿部和重まで来ていた。

■業界リーダーとしての東浩紀

しかし、このような錚々たる顔ぶれの中でも、やはり東浩紀氏が一番に目立っていた。(全プログラム参加という人間離れした苦行をしていたということもあるが)ほとんど「東浩紀10時間耐久シンポ」という感じだった。

私は、東氏の本は『動物化するポストモダン』と『自由を考える』(大澤真幸氏との共著)しか読んだことがなかったのだが、今回のシンポで一発でファンになった。

私は曲がりなりにも一般企業での社会人経験があるため、こういう大学院を出て、そのまま先生や評論家になってしまった人たちに、ある種の偏見を持っている。自分がやりたいことを、一部の狭い空間の中だけで完結して楽しんでいる、内輪な感じの人たちと。

自分も本当はそういう人間なので、「自分たちが楽しければいいじゃないか!」というスタンスも分からなくはない。

しかし、できるだけ多くの人を相手に本当はやりたくないこと、村上春樹風に言えば「文化的雪かき」を頑張ってやっている人たちをたくさん見てきた人間としては、「それはちょっと勝手すぎるんじゃないの?」と思ってしまったりもするのだ。

しかし、東氏は違った。東氏は、社会における批評家としての自覚を強く持っていた。もともと批評なんてそんなに必要とされないという現実を認めつつ、その中でどうすれば批評を活性化していけるのか。要するにビジネスの観点で批評界を引っ張っていこうというスタンスを持った人だった。

これは東氏の活動を知っている人にとっては、周知の事実だったのであろうが、私にとっては驚きで、単純に、とてもカッコイイと思った。

佐々木敦氏から「成功と自己実現のために批評をやっている」と指摘され、「成功と自己実現がなくて人はものを書きますかね?」とズバッと反論した所もカッコよかった。

文学や批評というものは、社会批判の側面を持っているから、どうしても「金儲け」を忌み嫌いがちだ。しかし、様々な綻びを出しながらも、今現在資本主義に代わるシステムは存在しないわけで、その中で批評の存続に危機感を抱き、業界全体を市場的にも活性化させていこうという姿勢には感銘を受けた。

■文学にもボーダーレス化の波が?

この「売るか売らないか」という問題は全体のテーマでもあって、文芸誌はもっと部数を伸ばすべきか、文芸批評はなぜ大衆小説を取り上げないのかなど、興味深い議論が展開された。

これともう一つのテーマが「インターネットと文学」だった。文芸批評は昨今のブログ、ケータイ小説、amazonレビュー、ニコニコ動画などをどのように扱えばいいのかという議論は面白かった。これまでの文学や文芸批評が持っていた境界線が崩れ始め、そのあり方が問い直されているという認識を得た。

今世界経済のボーダーレス化が進んでいると言われているが、文学にもボーダーレス化の波が押し寄せているのだ。

と、このようなことを考えていてふと思ったのが、文系理系の区別も、そろそろ本格的にボーダーレス化していいんじゃないかと思った。

文芸批評ということもあり、本日のパネリストは(おそらく)全員文系の方々だった。ここに理系の人も入っていたらもっと面白かっただろうにと思った。

ちなみに理系の人としては、『おまえが若者を語るな!』の後藤和智が議論の中には出てきた。後藤氏は東氏のような批評を「データによる実証性がない」と批判したが、これに関しては総すかんだった。

 ・東氏「もともとフランス現代思想から入ってるのに社会学的に実証性がないと言われても困る」

 ・大澤氏「データなんかでは100%の事実なんか救えない。参考程度でしかない」

 ・福田氏「内面で解釈をせず、外部のデータに依存した文章は作品として弱い」

など確かにごもっとも。私も『おまえが若者を語るな!』に関してはまだ思う所があって、自然現象とは異なる、内面を持った人間の集合である社会をデータだけで語ろうとするのは無理があると思う。これはまた別に考えたいと思う。

さて、最後に筋としてしっかり付け加えておきたいのだが、今回の10時間シンポ、これだけ豪華なメンツでなんと入場無料だった。それだけに会場は若い人を中心にほぼ満員状態だった。

はっきり言ってこの内容だったら、数千円〜一万円してもいい価値だと思う。これだけ充実したシンポジウムを無料で開催してくれた早稲田文学の宣伝(リンクはアソシエイトです、はい。)をして終わりたい。

早稲田文学1
早稲田文学1

早稲田文学編集室

※ちなみに今回のシンポジウムの模様は2008年11月末〜12月に刊行予定の「早稲田文学2」に掲載予定とのこと。




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ラベル:東浩紀
posted by Tommy at 00:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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