2009年01月24日

電車の中で読むのが恥ずかしい本、恥ずかしくない本

電車の中でカバーを付けずに本を読んでいる人がいる。私は必ずカバーを付ける派なので、カバーを付けずに人前で堂々と本を読める人の気が知れない。本というものは、多かれ少なかれ、読んでいる人の興味、関心、嗜好などを如実に物語る。どんな本を読んでいるかということは、その人の内面を露呈してしまう、極めてプライベートな媒体なのだ。

それなのに、世の中の人は、よくもまあパブリックなスペースで、自分の頭の中身を惜しげもなく曝け出している。内容が高度そうな本であれば特に恥ずかしがることもないのかもしれないが、安直なタイトルのビジネス本とか、べたべたのベストセラー小説なんかを平気でカバー無しで読んでいる。あれでは、自分の頭の空っぽさ、俗物さを露呈しているようなものだ。

カバーなしの本よりもっとひどいのがスポーツ新聞を広げて読んでいるオッサンだろう。隣に若い女性がいる時でも平気で風俗欄を広げて食い入るように読んでいる。これはほとんどセクハラなんじゃないかと思う。刑法に「わいせつ物陳列罪」というものがあるが、この場合、「わいせつ“心”陳列罪」にしてもいいのではないかと思う。

何で公共の場でこういう無神経な行動を取れるのだろうか。結局この問題も、電車内で化粧をしたり、大音量で音楽を聞いたりする行為と本質的に変わらないのかもしれない。要するに公共の場における「他者」という存在を尊重していない、あるいはもっといえば認識すらしていないのだ。

とまあ、こうやってぐだぐだ文句ばっかり言っていても仕方がないので、少しは実用的な内容の文章も書かないとなあと思い、今回「電車の中で読むのが恥ずかしい本、恥ずかしくない本」というのを考えて見た。これさえ押さえれば、カバー無しで本を読むのも怖くはないはずだ。

【電車の中で読むのが恥ずかしい本】

・ベストセラー全般


これは人によって捉え方が違うのかもしれないが、私はベストセラー本を人前で読むというのは、「私は凡庸です!」と公言しているだけのような気がしてあまり好きではない。もちろんベストセラーの中にも優れた本は少なからずあるのだろうが、それでもこと書籍に関しては、ベストセラーのレベルの低さには亡国の念を抱かずにはいられないほどである・・・。

・ノウハウ系のビジネス書全般

一般的に人は、劣っているスキルを伸ばすためにノウハウ系のビジネス書を買う。だから電車内でノウハウ系のビジネス書を広げていれば、「ああ、この人はそういうスキルがない人なんだなあ」と思われてしまう。例えば「部下に好かれる本」であれば、「この人は部下に好かれてないんだなあ」となるし、「上司にほめられる本」であれば、「この日人は上司にほめられていないんだなあ」となってしまう。「サルでもわかる」なんて言われたら・・・。

・コテコテの恋愛小説

これはちょっと恥ずかしいでしょう。頭のはげかかったオッサンが、宮部みゆきとか、桐野夏生とか読むのは一向に構わないのだが、村山由佳とか唯川恵とか読んでたらちょっと引いてしまう。綿谷りさとかでも、あのオッサンが頭の中で女子高生の口調で読んでいるのかと思うと、やはり引いてしまう。でもまあ、そのギャップがもしかしたらそのオッサンの魅力だったりするのかもしれない・・・。

【電車の中で読むのが恥ずかしくない本(むしろすすんで読みたい本)】

・哲学・思想書全般
精神現象学
G.W.F. Hegel 長谷川 宏
4878932945


難解そうな本の代名詞といえばやはり哲学書だろう。分厚くて難解そうなタイトルの本を電車の中で読んでいたりしたら、「あの人はきっと重い思想的問題を抱えているのだろう」と周囲の人から畏れられること間違いない。中でもぴったりなのが、ヘーゲルの『精神現象学』(長谷川宏訳)なのではないか。まずタイトルが見るからに「哲学です!」という感じだし、分厚くて装丁もオシャレなので「魅せる」にはもってこいだ。ただし、余りにも「狙いすぎ」な感も否めないので、逆に俗物さを露呈することにもつながりかねないので注意が必要。

・長編文学の最終巻
失われた時を求めて〈1 第1篇〉スワン家のほうへ (ちくま文庫)
Marcel Proust 井上 究一郎
4480027211

(画像は第1巻)

古今東西の名作文学の中には、何冊にも渡る大長編の作品が少なからずある。そういう作品の最終巻を読んでいたりしたら、「あの人はあの大作を全部読んできたのか!」と畏れられること間違いない。この手の本でぴったりなのが、プルーストの『失われた時を求めて』だろう。1冊だけでもかなりのボリュームがあるこの小説を最終巻まで読んでいるのだからかなりの強者と思われるだろう。ただし、逆に余程の暇人か?と思われる危険もあるので注意。

・洋書全般
The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream (Vintage)
Barack Obama
0307455874


これはもう問答無用でスタイリッシュだ。英語できることが珍しいことでも何でもない世の中になってきているとはいえ、それでも大部のペーパーバックを広げて読むさまは、まだまだ「おっ」と思わせるものがある。今だとタイムリーな「オバマ本」を原著で読んでいたりしたら格好いいだろう。ただしうっかり逆さのまま読んでいたりすると、「フリ」であることがばれてしまうので注意。
posted by Tommy at 22:56| Comment(0) | 本(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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