2009年01月25日

『バクマン。』は今後『DEATH NOTE』のように人間の根本問題に触れるシリアス路線に転換するに違いない・・・かな?

バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)
小畑 健
4088746228


『DEATH NOTE』のコンビが再度タッグを組んだことで話題のマンガ。世の中に対して少し冷めた考えを持っている主人公「最高(もりたか)」が、同級生の秋人(あきと)」に誘われて、二人で少年マンガ家として成功することを目指す。まだ第1巻だが、裏表紙に「新時代成功物語」と書かれているので、大方この流れから逸脱せずに展開していくのだろう。

マンガの製作や出版事情などの具体的なネタが随所に散りばめられており、「ほ〜、そうだったのか」と目からウロコが落ちる。Gペンを使って描くことの難しさ、マンガ原作の場合は絵の入ったネームが必要なこと、週刊誌のマンガは人気がなければ10週で打ち切られる・・・などなど。小畑健が「今回はファンタジーは一切なしです。」と書いているように、「DEATH NOTE」とは打って変わってリアリティー重視路線のようだ。

リアリティーを喚起する要素の中には「自分ネタ」も結構出てくる。二人が処女作を投稿する会社が「集英社」だったり、会話の中に「デスノート」が出てきたりと、読んでいてニヤリとするようなシーンが数多く出てくる。一般的にマンガは、虚構の世界の中に読者を没入させようとするものだが、「バクマン。」は虚構の中に没入させたかと思うとすぐにまさに現実に引き戻し、読者が今没入していた世界がマンガであることを思い出させる。まさに「メタ」視点を楽しむという、極めて現代的なマンガと言える。

それにしても、二人の作者はなぜ「DEATH NOTE」の次のテーマを「マンガ家」にしたのだろう?よく言われているように、「DEATH NOTE」は、「この世から犯罪者をなくすことで平和な世界を造る」という、それ自体は筋の通った「理念」のために人の命を奪うことの是非を問うという、ドストエフスキーの『罪と罰』にも繋がるような、人間の根本問題を扱っていた。「DEATH NOTE」があれだけ大ヒットしたのは、魅力的なキャラクターや、ストーリーの面白さはもちろんのこと、そのような根本的な問題を世に問う作品だったからではないか。

そうであるならば、きっと本作も、何かしら人間や社会に関する根本問題に迫るような作品になるに違いない。第1巻は全体的にコミカルで、メッセージ性が希薄に思えたが、例えば今後は、マンガ家としてデビューするも作品が売れず不遇の時代を送って「夢を実現した後の地獄」を説いたり、マンガを読んだ少年が犯罪を犯してしまい作品がバッシングを受けて「メディアが社会に与えてしまう負の影響」を説いたり、あるいはそこまで行き着く前にマンガ家への道の途中で夢を諦めざるを得ない厳しい現実に直面して「夢を追うことの空しさ」を説いたり・・・、要はどこかで必ずやシリアス路線に転換するような気がするのだ。古谷実の『ヒミズ』みたいに・・・。そんなことないかな。でもちょっと期待はしている・・・いやかなり・・・。
posted by Tommy at 23:45| Comment(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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